バリ島の影のない影絵芝居 ワヤン・ルマ

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影がないのに影絵芝居って?
まず誰もが不思議に思うところです。

インドネシアの影絵芝居 「ワヤン」wayang は「影」が語源ではありますが、実は影を用いないさまざまなワヤンがあるのです。

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演奏者から見た「ワヤン・ルマ」の風景(photo:Rumika)

 

今回ご紹介するのは、ワヤン・ルマ(wayang lemah)と呼ばれる、影を映すスクリーンを使用しないバリ島のワヤン。「ルマ」というのはバリ語で「昼」を意味します。

ワヤン・ルマの多くは昼間に行われる宗教儀式の際に演じられ、夜のワヤン(wayang peteng)と比べより宗教性が高く、神のために演じるものなので観客はいません。(子ども達や手の空いてる人が周りにいることはありますが)

 

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オダラン(寺院創立祭)会場。中央に見える箱はワヤン人形が入っている「クロパック」kropak 周りにはたくさんのお供え物が。奥に儀式が始まるのを待つ人々

@Pura Desa Sukawati

 

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プダンダ(高僧、左奥)の準備が整い、儀式が開始。参拝客であふれる境内の中、舞踊が奉納される

 

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舞踊と同時進行でワヤン・ルマも「グンデル・ワヤン」gender wayang の演奏からスタート


儀式会場はたくさんのお香が焚かれ、お供え物の果物や花々であふれています。ワヤンと並行してガムラン演奏、舞踊なども奉納され、音、色、匂いの洪水でカオスな状況になることもしばしば。しかしそれは決して不快ではなく、まるで「あの世」とでも表現してもいいでしょうか。。

また、儀式が終わると同時にワヤンも終了するため、物語の途中で突然終わることもよくあるようです。

今回はバリ島の影のない影絵芝居、ワヤン・ルマをご紹介しました。バリ島で儀式に遭遇した際は、ぜひワヤン・ルマを探してみてください!会場の片隅でひっそりと演じられているかもしれません。

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出番を待つ踊り子の少女、少年たち

@Pura Erjeruk

 

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奥からガムラン演奏(ゴング・クビャール)、奉納舞踊「ルジャン」を踊る少女たち、手前ワヤン・ルマのガムラン(グンデル・ワヤン) オダランのフル・コース(?!)

 

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バリ島内のダラン(影絵つかい)や演奏者の中でも、こちらのお二方は昼も夜も何でもござれのワヤンの大御所と言っても過言ではない方々。ダラン(左)はスカワティ村(Br.Babakan)のジュアンダ氏、演奏者(右奥)は同じくスカワティ村のサルゴ氏

 

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精緻な彫りが施され、色鮮やかに彩色されたワヤン人形がたくさん写っています。人形が入っている「クロパック」はただの人形収納のための箱ではなく、影絵芝居 ワヤン の始まりから終わりまで重要な役割があります。ダランは「チュパラ」という木槌のような道具を手で持つか足の指に挟み、クロパックの側面を打ち鳴らして劇中の効果音や合いの手を入れます。また、演奏者にとってはチュパラの音は時に演奏の合図となります。箱の素材はナンカ(ジャックフルーツ)の堅い木が使われており、音が遠くまでよく響きます(ワヤンの盛んなスカワティ村のクロパックは、よりバリエーション豊かに音を鳴らせるよう片側の側面がグラグラと動くよう設計されています)photo:Rumika

 

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写真1:チュパラ(cepala)

写真2:足にチュパラを挟んで使用する様子