第2回NPO法人日本インドネシア・バリ教育文化協会 自主公演「バリ島のワヤン(影絵芝居)〜上演と解説~」(2017.2.20 宮地楽器ホール内)に多くのご来場本当にありがとうございました。
当日は準備不足から開場時間も遅れ多くの方々にご迷惑をおかけしてしまい、大変失礼をしました。そのような中でバリ島から来日した出演者カデ・チャプン氏とブダ氏は、いつものパフォーマンスが普通に出来て良かったと言われ、関係者一同ホッと胸をなでおろしました。
フルメンバー全バリ人による公演ではありませんでしたが、この2人の存在はそのフル編成に殆ど遜色が無いと言えるほどのパフォーマンスだったと思います(けっして3人の日本人サポート演奏が頑張ったという意味ではありません)。
NPO法人日本インドネシア・バリ教育文化協会は、昨年8月17日に産声をあげたばかりの駆け出しの団体です。インドネシア・バリ島の音楽・芸能を中心に世界の民族音楽の文化を、手ざわりの感覚で多くの方々に体験して頂く機会をこれからも沢山作っていきたいと考えています。
NPOジベカの活動をどうかこれからも長い目で見て頂き、暖かなサポートをどうぞ宜しくお願い致します。
(代表飯田)
以下飯田より、当日の様子を写真と合わせて解説します。
カデ・チャプン氏は現在43歳。9歳の時から彼の存在を知っていましたが、グンデル・ワヤンの演奏と指導、舞踊家、ガムラン演奏家、さまざまな形態の海外公演など、多岐にわたりその秀逸な才能を発揮してきました。私はチャプン氏の今後の動向が日頃から気になっていたため、あえて今後どのような道を進むのか尋ねてみました。すると強く意志のこもった声で「ダラン」だ!とハッキリと応えてくれました。即答で2度も。踊り、ガムラン音楽など今までのさまざまな経験は、全てこれからのダランの道のためだと言い切りました。これからの彼の動向を皆さんと一緒に注目していきましょう。
ワヤンの人形たち。影を見せるための人形も色彩豊かにペイントされているのがバリらしいですよね。
スカワティ、バリ島を代表するグンデル・ワヤンの演奏家、指導者のブダ氏(右)と、ダランのチャプン氏(左)。ブダ氏は近年子どもたちの指導に大変力を注いでいます。グンデル・ワヤンの演奏セオリーをはっきり持ち示し、子どもたちに熱心に指導するブダ氏のような存在を私はかつて見たことがありません。多忙な毎日なので健康に十分留意して下さい。
事前の予定を越える沢山のお話しありがとうございました(笑)、情熱を改めて感じました。普段寡黙なブダさんにも沢山語って頂きました。
今回の物語「アルジュナの瞑想」の主役アルジュナ(左)、アルジュナの従者ムルダ(中)、同じく従者でムルダの父トゥアレン(右)。トゥアレンとムルダはNPOジベカのロゴマークにも使わせてもらっています。
チャプン氏の人形操作(トゥアレンとムルダ)のシーン。トゥトゥタン(ダランのアシスタント)のお仕事、ライさん(奥)本当にありがとうございました。
今回のワヤン公演、全7名の演者。ダラン・チャプン氏(中央)、トゥトゥタン・ラヌス氏(左奥)、トゥトゥタン・ライ氏(手前)、グンデル・ワヤン(右奥4名)の演奏者は、ブダ氏(背中黒)、大森(左)、宮崎(右)、飯田(奥)
演者側の会場内の様子。今回のワヤン公演は、スクリーンの両側から見て頂けるように、開演中にお客さまの移動が出来るように会場を設営しました。両サイドから見られましたか?
アルジュナの瞑想という物語は、アルジュナが森に修行に入るため森の動物が沢山登場しました。この動物はオウムなのですが、普通黒く映る人形が鮮やかなオウムの色彩になっていましたね。現役の名ダラン、イ・ワヤン・ウィジャ氏作のオウムです。
これはペリカン、バリ島にいない動物も沢山登場しました。動物の繊細な動きは、先ほどオウムワヤンの作者として紹介しました、イ・ワヤン・ウィジャ氏の影響を多大に受けたとのこと。
「早くそれ取って!」普段は温厚なチャプン氏も、ワヤン終盤の戦闘シーンや物語がクライマックスに達するとこんな顔をトゥトゥタンに見せます。真剣そのもの、どのダランもそうなんですよね。
チュパラという木片を足の指にはさみ、ワヤンの入っている箱を叩いて「ガタガタッ」という迫力のシーンを演出しまし。この迫力感はスカワティだけだよねと、自慢が入る。
ナガ(龍)とガルーダ(神の鳥)の戦闘シーン。この両者が戦うのはスカワティのワヤンだけだと、またまた自慢が入る。本当ですか?誰か他の例をご存知でしたら是非お知らせ下さい。
本当に素晴らしいパフォーマンスありがとうございました。改めて左から、ブダ氏、ライ氏、チャプン氏、ラヌス氏。このメンバーでのワヤン公演は一期一会最初で最後かな?
グンデル・ワヤン(楽器)とパングル(バチ)
写真:松田 修一