美しい日本の原風景が広がる筑波山麓にて、ジェゴッグのミニコンサートとワークショップを行いました。(田井ミュージアム/NPO法人自然生クラブ/茨城県つくば市)
ジェゴッグとは、バリ島西部のヌガラ地方に伝わる、巨大孟宗竹で作られた旋律打楽器の合奏音楽で、「竹のガムラン」とも呼ばれています。
その巨大なサイズから日本には数は多くなく、大変希少価値のあるバリ島の楽器です。JIBECA代表の飯田茂樹が所有するこのジェゴッグで、今回ミニコンサート・ワークショップを開催することとなりました。珍しい音楽を楽しみに多くの方にご来場いただき、そのダイナミックな生の音、振動を体感していただきました。
コンサートは、今回の音楽監督である鍋島純子さん(深川バロン倶楽部)を中心にグループでジェゴッグ合奏、飯田茂樹と鍋島次雄さん(深川バロン倶楽部)によるバリのお笑い芸能ボンドレス、その他には影絵芝居の音楽グンデルワヤン演奏やバリ島留学経験者の談話コーナーなどバラエティに富んだ内容でした。
そして、クライマックスは地響きのようなジェゴッグの音楽に合わせて鍋島次雄さんが踊る迫力満点のバロンダンス!(バリ島の聖獣バロンの踊り) まるでバリのお祭りに迷い込んだかのような、とてもにぎやかな会となりました。
コンサートに引き続いて、ジェゴッグを使ったワークショップを行いました。参加の皆さんは、ジェゴッグに興味を持ってとても積極的に取り組んでくれました。
ジェゴッグの良いところは、旋律の楽器にもかかわらずハーモニーなどあまり気にしないで演奏できてしまうというところ。それはスレンドロ音階(日本のわらべ歌の音階に似た5音階)の中の4つの音により構成されたシンプルな音階を使っていることと、金属と違って我々日本人にとってなじみ深い、竹のもつ暖かい柔らかい音質が影響しているからではないかと考えます。
最重低音の最大の楽器(この楽器をジェゴッグという)だけが、核となるメロディーリズムを奏で、それに合わせ、殆どノールールの即興をしていく。このちょっとしたルールだけの合奏が、他にはない音世界を創造していきます。
協力して1つのものを見出すことができてしまうところがジェゴッグの最大の特徴ではないかと、今回のワークショップを経験して改めて強く感じました。また今回は、いわゆる障害のある方も多く参加してくれましたが、障害のあるなしに関係なく、皆んなが同じくいきいきと演奏に参加していたのが大変印象的でした。
さて、タイトルにある「地獄」。これは、私たちが地獄のような特訓をしたからでも、音楽が地獄のようにおどろおどろしいからでもありません。
深い意味はありませんが、「ジェゴッグ」と「ジゴク」、響きが似ていますよね…。
ただ語呂が面白いからというわけではなく、ちょっと理由もあります。私たちはジェゴッグを運び出し、組み立てから準備をしましたが、地獄とまでは言いませんがこれがなかなかの骨折り作業でした。便利な現代の日本では、このような経験はなかなか出来るものではないと思います。(バリ島でもないかもしれません) 作業中は大変でしたが、今思い起こすと忘れがたいインパクトのある経験で、チームワークから得られる達成感はなかなか爽快でした。