バリ島にはさまざまな種類のガムランがありますが、こちらのゴング・アンクルンというガムランは、バリでは昔から葬式や儀式で演奏されるガムランで、観光客の目にはあまり触れることはないかもしれません。全体的に楽器のサイズが小さめで軽いので、祭りの行列では楽器を肩から掛けたりして運びながら演奏することもあります。
今回訪れたシダン村は、バリ島ギャニャール県の東部に位置する村で、古来よりゴング・アンクルンの盛んな村として知られています。私は幸運にもシダン村のお葬式に参列する機会を得、ゴング・アンクルンが儀式の中で実際に演奏される様子を見させていただきました。
写真は総勢18名のプリ(王宮)帰属のゴング・アンクルングループ、「 シダン・ウィジャ・クスマ」のみなさん。コテカンとは違 うンゴナンスタイルの優しく柔らかい音の演奏でした。
※コテカン:ポロス(表のリズム)とサンシ(裏のリズム)という入れこになって絡み合うメロディーとリズム
※ンゴナンスタイル:ハーモニーを重視した音を重ねる演奏法
不謹慎を承知で発言させて頂くと、こんなに音楽的に楽し いお葬式は初めてでした。先週80歳を越え大往生された おばあさま、本日は参列させて頂きまして本当にありがと うございました。
すべてのはじまりは、シダン村の田んぼでの出会いからでした。
肥料をまいていたおじいさんに声をかけたところ、このおじいさんがゴング・アンクルン演奏グループ「 シダン・ウィジャ・クスマ」の中心的な演奏家だったのでした。
多くのガムラン演奏家の生業が農民ってことをまざまざと教えられた瞬間でもありました。
運命的出会いに感謝…。(飯田)